幼稚園の頃、自然が豊かだった武蔵野の地に住んでいました。
春風がそよぐ庭で、池の赤い金魚たちの上に桜の花びらが舞い。
夏の夕方には近くの小川に蛍。
紅葉した秋の雑木林でどんぐりを拾ったこと。
冬には畑に霜が降りて、わざとジグザグに歩いてざくざくと踏みしめるのが面白かった。
週末の午後は決まって、バス通りを渡って、女子学院の近くにあった雑木林をぬけ、畑道を
父と姉と私の三人で、父の碁仲間の同僚の方のおうちへ向かったものでした。
そのおうちには私と同い年の女の子と妹さんが居て母親同士も仲が良く、私たちが転居する
までお互いの家をよく行き来していました。
その女の子のお名前は...なんだったかな。
思い出すのはオナガという鳥。
名前の通り尾が長く、瑠璃色のグラデーションをした、とっても綺麗な鳥です。
でも鳴き声は「ギャーギャー!」というだみ声で、それはそれはうるさいの。
父と秋の林を歩いていると、かまびすしくオナガ達が鳴き交わし、子供心に「こんなに綺麗
な身なりをして、なんて声をしてるんだろう。」と、ちょっと気の毒に思ったり。
晩秋。
いまはもういない父とのそんな想い出を思い出しました。
むさしのは月の入るべき峰もなし尾花が末にかかる白雲。新古今。
これから寒い冬がはじまります。
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