庭の樹木にも小さな緑の芽が芽吹いてきていて、もう少しすると一斉に若葉の緑に囲まれる
季節が訪れます。
ちゃくちゃくと。でも時に、ながぁ〜い休憩を挟みながら「断捨離」をしている今日この頃。
先日は書斎の絵をはずして年季の入ったこの鏡に架け替えてみました。
イギリス/ウィンザーから、はるばる海を越えてやってきた古い鏡。
ウィンザーを最初に訪れたのは30代後半の時だったかな。
ウィンザー駅そばの賑やかな通りを横道にそれ、狭い露地を入った所の突き当たりにあった
小さなアンティークショップ。
東京まで持って帰るのだと伝えると、女性の店主の方が丁寧にパッキングしてくれました。
そんなに遠くまで旅をするのだからと、すこしオマケもしてくれたんだっけ。
この鏡も私のところに来て、もう20年以上が経ちました。
あの眼鏡をかけたやさしい高齢の店主の女性はまだお元気かしら。
そうそう。そして最近もうひとつ発見が。
先日、「骨董道楽」という本を手にいれて、美しい写真が多数載っているこの本を興味深く
読んでいると「デスカード」という項目が。
ん?デスカード? いま流行りの「デスノート」じゃなくて?
葬儀の際、遺族が参列者に配る小さなカードのことを「デスカード」と言うそうで、故人の
人柄やエピソードなど、亡くなった方を偲ぶ温かい文章が綴られているものだとか。
ふと部屋の壁に掛けている小さなフレームを思い出し、あら。もしかしてあの壁飾りは?...と、
よくよくカードの文章を読み直して見ると。
マダム・チャタレー。1930年1月8日に亡くなる。
と書かれているではありませんか!?
虫眼鏡でゆっくり観察すると鳥の羽根飾りだと思っていたのは遺髪とドライフラワーで綺麗
な模様にコラージュされた飾り。もうびっくり。
編み込まれた遺髪を収め、周りを宝石や真珠で飾られた漆黒のブローチを思い出しました。
そうか。1903年に亡くなった。マダム・チャタレーの。これは。忘れがたみ。
どういう人だったのかな。
ブルネットの髪をして。やさしい白い手をして。穏やかな人柄で。静かな低い声の美しい人。
フランス語を解さない私は、てっきりアッサンブラージュの類かと勘違いしてこの壁飾りを
求めましたが、しみじみとした想いがこもった亡き人を偲ぶためのものだったんですね。
愛されていたんだろうな。思い出を手作りのフレームに入れられて大事に大事にされて。
会うことのなかった遥か昔に生きた遠い異国のその人と、なんだかとても近しくなれた気が
して、温かな気分になった午後でした。
時空を超えた出会い。
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