2014年2月21日金曜日

no.592 ke--shi-ki

プライベートでいろいろとゴタゴタしながらも、厳寒の季節を元気に過ごしています。
ソチのオリンピックや国内の政治の問題、ストーカー事件やら息子の偏差値。
心が痛んだり憤ったり、心配したりすることは山のようにありますが、ここのところ、私は
自分のインナートリップが楽しくてしょうがないのです。
ke-shi-ki(景色)を観ること。
それはね、アンティーク用語で、器が身をもって表現している物語を感じること。

昨日、オークションで手に入れた初期伊万里の本当に可愛らしい小皿。
そこここに傷みがありますが、トロッとした釉薬の肌といい、小品ながらもずっしりとした
重みといい、高台底についた粗砂のつき具合といい、初期伊万里独特の美。
描かれた鶺鴒(セキレイ)の楽しそうな表情で、見ているこちらも愉快になります。



初期伊万里は1610年くらいから1650年くらいまでに焼かれた日本最初の磁器。
素焼きをせずにいきなり1300℃の窯で本焼きすることで、この優しい風合いの磁肌になるん
だそうです。
いったいどんな人が焼いたんだろう。
金継ぎで仕上げるのが今から楽しみです。

これはローマンガラスの小壺。
すこし傾いでる感じが愛らしいでしょう?
音楽に耳を傾けているようにも、瞑想しているようにも見える。
どこでどんな人に作られて、どこに飾られどんな人達の手を通って私の元に来たのかな。
ペルシャかローマかイスタンブールか。
片手に載るほどの可愛らしい壺です。


こちらは元々持っている伊万里の角皿。
25年くらい前に買ったもので、いろいろあった後も手放さずに持って愛玩していたものです。
秋の夕暮れに、ひとりの僧が空を渡っていく雁を見上げている図。
見ているだけで、まるで自分がその場に居て夕暮れの風景に溶け込んでいってしまいそうに
なる。



内側に。内側に。
インナートリップしているこの頃の私です。


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