2015年9月7日月曜日

no.815 oh-kawachi-yama

大川内山。また来てしまいました。
一度訪れて、自分の原風景を見たような、なんとも懐かしい気持ちになった場所。

1660年代にここ大川内山に鍋島藩の窯がひらかれました。
一般人への販売目的ではなく、将軍家の御用達や諸大名の贈答品として扱われていたために、
各調高い品格のある作風が厳しく守られて、その風格をいまに伝えています。

川に架けられた橋の装飾もこの通り素敵。


街灯も白々とした電灯もない、きっと夜になると真の闇があたりを包むんでしょうね。


いまでも30ばかりの窯が在るようで、それぞれの窯でお香炉や平皿、青磁や色絵などお得意
の分野がわかれているようです。
雨模様だった空に青空がのぞいてきました。
秋めいた風が涼やかです。


藩窯だった大川内山には監視をする役所や通行人を規制する関所も設けられていたそう。
その役所跡には、ここの歴史の推移をすべて見て来た銀杏の大樹が立っていて。


なんと、古くからある鍋島藩窯図絵の図案に、この銀杏の樹も描かれています。
ちょうど真ん中より右上の、一本すっと立っている樹がこの銀杏の樹なんだとか。


涼やかな風に銀杏の葉が揺らされて、サワサワと、時にザワザワと、昔の人も聞いたであろ
う同じ葉擦れの音を今も奏でてくれています。
神経に障る音、視覚的に刺激があるものが何もない場所。
ここにいて石畳を踏む自分の足音だけを聞いていると、普段まったく忘れている自分の魂の
輪郭が、はっきりと意識できる様なそんな心地がしてきます。


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