私が小学生だった時分は、いまの息子達みたいに、塾やお稽古ごとで1週間がほとんど埋め
尽くされることはなかったように思います。
私がやっていたお稽古ごとはピアノとお習字。
お友達にはヴァイオリンだったり、そろばんやバレエ、剣道をやっている人達もいたけど
まぁ、そんなものを週2日くらい。
日曜日の朝は家族そろって朝寝坊するのが通例で、お布団の中でお昼近くまで本を読んだり
するのが楽しかった。
両親は本には本当に贅沢をさせてくれて、欲しいという本は必ず買ってくれたし、幼少時
には美術図鑑などをズラリとそろえてくれていました。
その中で私がことあるごとに開いた世界美術図鑑。
そこに、このヴィンセンツォ・カンピ(1530〜1591)の「果物売り」の絵がありました。
カンピはイタリアのクレモナ出身の16世紀の風俗画家。
当時は肖像画や風景画、宗教画が主で、庶民の生活を描いたカンピみたいな画家は珍しか
ったんだとか。
夏の日にソーダを飲みながら図鑑を開くと、この果物売りの女の人が涼しげに果物を売っ
ていて、この絵の中にイメージで自分も入っていってしまうような感覚を持ったものです。
プラムやぶどう、桃やチェリーなどの果物の香りや、涼しい風。
少し低いこの女の人の声や周りの賑やかな喧噪。動物の鳴き声。
もう40年も前のその時の想い出が、絵を見るとパァ〜とあふれてくる。
不思議ですね〜。
奇しくもその頃の私は、いまの息子の年です。
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