日大の芸術学部。
その道を志す人の中には、この学校に入りたいが為に、それはそれは入念に色々とリサーチ
して受験に臨む方もいらっしゃるのだとか。偏差値、というより、倍率すごく高いからね。
わたしは…。超いい加減に受験して、たまたま受かってしまって。
だから。在学中は一生懸命に精進している人達の中で常にアウェイ感に包まれていました。
それは当然だよね。『志/こころざし』がないんだから。
花組芝居の座長、加納幸和さん。
フラフラと「音楽をやろうかどうしようか?」なんて迷っていた考えなしの当時の私とは、
そもそも入学した時からまるで空気感が違う方でしたね。
ほんと「同期です!」なんて言うもおこがましい。私からしたら雲上人です。
そんな加納さんと木原君主催の飲み会でお会いしてから、コンサートにお誘いしたり、息子
のつたない剣舞を観に入らして頂いたり。
ご案内頂いていた二子玉セーヌフルリで開催されているHON-YOMI「かもめ」を観に、昨日、
息子と二人で伺いました。
舞台装置は椅子、テーブルのみ。
そして客席と舞台、うつつと夢の境目に蝋燭が灯され、BGMは鳥のさえずり。
シンと冷やされ、ほんのりと照明が落とされたお稽古場は、どこからか樹の香りがしてくる
ような。そこは一歩足を踏み入れた時から、もう物語の世界です。
朝早くから、社会の宿題のためにお友達と自由が丘のケニア大使館に出向いていた息子は、
ここで早くもうつらうつらとし始め、結構目立つお席だったのでしょっぱなから舟をこいで
るのはまずいよなぁ〜と思い、時々ひざを叩いて起こしたりして。
でも、いざ照明が落ち、役者の方達がわらわらと舞台に現れた瞬間から、息子、もう目が釘
付け。どっぷりとチェーホフのお話の世界へ。
笑いのポイントがちょっと人と変わっている息子は、妙なところで「わはは!」なんてこと
もありましたが、とにかくすごい集中力で舞台を観ていました。
あっという間の90分!
終演後に、加納さんとご一緒にお写真を撮って頂きました。
以前「チェーホフはまだ13歳でらしたら少し早いかもね〜。」と加納さんがおっしゃって
ましたが、とっても楽しかった!面白かったです!と息子がお伝えすると、お忙しい中ニコ
ニコと微笑んで、いろいろと立ち話をしてくださいました。
帰りの車の中で「お芝居の中で誰が一番好きだった?」と息子に尋ねると、「すごく面白か
ったからみんな良かったけど、もうダントツに加納さん!ぼく、ほぼ加納さんしか見てなか
ったかも!」とのこと。
こんな若い時から、才能豊かな人とこんな形で出会えるというのは、あなた本当に幸せです。