2016年4月5日火曜日

no.917 spend alone in nara

息子との京都の旅を終えて、ひとりで久しぶりに奈良へ。
なんの予定もない日が1日できて。さて。どうしようかな。今日1日。
贅沢な悩み。だって外は春爛漫の古都、奈良。

一度見てみたかった「信貴山縁起絵巻」が奈良国立博物館で展示されているとの広告を見て、
まだ行ったことのない博物館に行ってみることにしました。
奈良に来る時はいつも訪れてみたい神社仏閣やお会いしたい仏像が目白押しなので、なかな
か時間をとる博物館巡りなどは出来ず。いい機会です。

博物館前の氷室神社の桜。満開!


奈良の街はもうすごい人。お天気にも恵まれているせいか休日の表参道みたいです。
英語圏ではない西欧人。中国人。韓国人。みんな満開の桜の美しさを満喫しています。
ゆっくりと歩く鹿やお煎餅をもらう度にお辞儀をする鹿に歓声をあげて写真におさめたり。
私の記憶にある、静かで平和な奈良のイメージからはほど遠い観光地。
でも仕方ないですねぇ。だって今日は桜が満開の春の一日だもん。


よく情報を確認しないで博物館を訪れたので、開催日がまだ先なことに受付でやっと気づき。
常設展だけでも見ようと思ったら、なんと展示内容の変更に伴う閉館。全然ダメじゃん(笑)
あの喧噪の中の奈良の街に戻るのはちょっとやだな…と思っていたので、水曜日と金曜日の
みに開館されている博物館裏の「仏教美術資料研究センター」に行ってみることにしました。


素敵な明治35年竣工の建物。建築は関野貞。
なんだか昨日見た平等院に似ているなぁ、と思っていたら、館内の解説に「平等院のフォル
ムをモチーフに」と記載されていて思わず微笑んでしまいました。
身分証明書を提示して荷物をすべて預け、普段は入れない館内へ。
奈良国立博物館の調査研究活動より蓄積された、仏教を中心とする文献資料を所蔵する場所
なので撮影などはすべて禁止。
学芸員の方と私だけが呼吸している密閉されたみたいに静かな空間です。

せっかくなのでセンターの蔵書で「信貴山縁起絵巻」を拝見しました。
有名な平安時代末期の絵巻物なのです。国宝。


信貴山の中興の祖である命蓮という僧を中心にした霊験譚です。


絵巻物って当時のいろいろな風俗や人々の表情がうかがえるから好きなの。
肖像画は「静」の画像。絵巻物は「動」の部分が表現されていて、人々の表情が本当に豊か。
信貴山縁起絵巻に描かれている東大寺の仏像は、聖武天皇の時代に建立されたオリジナル。


東大寺はそののち何回か被災して焼けているので、オリジナルの仏像が描かれているものは
この絵巻物のみだそう。創建時の模様がよくわかります。
そういった意味でも貴重な絵巻物なんだそうですよ。

なかなか訪れることができない場所で、思いがけない時間を過ごすことができました。


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