2016年7月9日土曜日

no.961 the final day of fukui

福井滞在最後の日。
九頭竜川の河口付近の町、三国町に足を伸ばしてみました。
三国町は昔、北前船の拠点となった港町で、越前ガニや甘エビの水揚げで有名なところ。
近くにあの東尋坊があります(行かないけど。自殺の名所でしょう?やだな。)
ここにかつての繁栄を偲ばせる古い建物があると聞いて、古物好きのわたくし、イソイソと
レンタカーで向かってみました。

まず訪れたのは「みくに龍翔館」


ここは、あのだまし絵のエッシャーのお父様、オランダ人の土木技師エッセルによって建築
された旧龍翔小学校の外観を忠実に再現した場所。
こんな小学校に通えた子ども達はなんて幸せなの〜。
最上階の展望台から見た九頭竜川河口の町、三国町の風景。お客は私ひとりだけ。


九頭竜川。
息子を身ごもって。でも仕事を中断するわけにはいかず…。コンサートツアーに廻っていた
時にこの川を目にして、生まれて来る子どもに「龍」の名前をつけようと決めたんだった。
あの頃のわたし。その時の自分を思い出して、しばし物思い耽ってしまった。

暑い昼下がり、町のメインストリートと覚しき通りに出てみました。
素敵な樹の傍らの商家。看板には「古美術商」と書かれている少し傾いだ古い建物。


繁栄を極めた時代に商家の大旦那とかの趣味の骨董を商っていたんでしょうね。
町の方のお話だと、もう大分以前にお店は空き家となっていて、最近になってやっと借り手
が見つかったようだとのこと。今度は何のお店になるのでしょうか。
美しい骨董でいっぱいだった時のこのお店を見てみたかったな。

森田銀行。地元の銀行として、住民に愛された銀行だったんだって。
大正9年に完成した鉄筋コンクリート2階建の近代建築。設計は山田七五郎。


内部は吹き抜けです。照明、白い漆喰の壁、時代を経たマホガニー色の手すり。素敵。


こういう細かい技がこの頃の建築の特徴でしょうね。わたしが最も好きな装飾のひとつ。


西洋風なんだけど和のテイストが入っていて、猛々しくなく、こじんまりと品が良い。
昔、こういう装飾のある小さな本棚を持っていました。
マイナスから人生をやり直したときにそれも手放してしまった。
いまでも時々思い出します。

暑い真夏のようなこの日。
朝から何も食べていなかったので、空港に戻る前にせっかくなのでお寿司を食べに。


これで回転寿しのランチなの!もうネタが!新鮮で美味しい!
よく北陸の人が関東でお魚を食べるとまずいって言うのを聞いてたけど、こんなのを日常的
に食べていたら、そりゃあ美味しくないわ。関東のお魚。

16時台の飛行機からの富士山。わたしの福井への小旅行の終わり。


「もうすぐ仕舞いの人生、持っている品はお好きな方に原価でお譲りしています。引退
してから骨董の店を始めましたが実に楽しかった。わたしは幸せ者なんですよ。」
福井の骨董屋さんの84歳になる店主の方のお話を、なんとなく機上で思い出しました。

わたしもこんなことが言える人生を送りたい。


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