2012年4月12日木曜日

奈良、桜井にある聖林寺。ここにも有名な十一面観音が祀られています。
明治時代に日本を訪れていたアメリカの東洋美術史家フェノロサが、近隣の大御輪寺の軒下に捨て
置かれたこの天平時代の仏像を発見し、所縁のある聖林寺に運び込んだのだとか。
先々代のご住職はその時12歳で、大御輪寺から聖林寺まで荷車に乗せて運ぶのを手伝ったそう。
おりしも桜の散る季節。
フェノロサのこともよく覚えていらして、とても優しいおじいさんだったと後に話しておられます。

明治の廃仏毀釈により、どれだけの文化財が失われたかを考えると残念でなりません。
海外の美術館を訪れると、本当に多くの文化財、美術品がこの時期に外国にながれているのがよく
わかります。
こんなに自国の文化を尊ばなかった人種って、他にいないんじゃないかなぁ。
今のこの国の情けなさを思うに、アイデンティティの確かな確立ほど大事なものはないなーと考える
ようになりました。
だから小さい頃から息子には、努めて貴重な文化財を自分の目で確認させるようにしています。
まぁ...私自身の楽しみもありますが(笑)


今日は敢えてこの十一面観音のお手の部分だけの写真を選びました。
ここだけ抜粋して見ても、本当に十二分に美しい。

本体は失われ、ある一部分だけ残された美術品を骨董の世界では「残欠」と言うみたい。

私は...こういったものに魅かれます。




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