2012年6月29日金曜日

初めて上海に行ったのは、もうかれこれ20年前。
その時は、すずめの羽の色をした街で、歩道橋に子供の物乞いが寝転んだままお金をせがんで
きたりして本当にびっくりした。
まるで教科書や映画で見た戦後すぐの東京のよう。
暗く、寒く(冬だったので)、人々はみな同じ様な服を身につけ、自転車が通りにいっぱい
走っていて...。 舗装されていない、あの路地の匂い。

そして二回目に仕事で訪れた時は、そのたくさんの自転車は今度は台湾の様にオートバイに
変わり、連なっていたすずめの羽の色の民家をパワーショベルがどんどん壊してビルを建設中。
外に出て1時間もすると砂塵で息苦しくなり...。
川は黒々とうねり、バンドの川沿いで太極拳をする人達は、こんな空気ではかえって身体に
悪いんじゃないかと思ったりして。

そしてごく最近訪れた上海は...まるで別の世界。
高層ビル。行き交うセレブチックな人々。一流ブランドショップ。高級外車の渋滞から発せられ
るけたたましいクラクション。かたや上海駅で、大荷物を背負い肩を落とした労働者風の人達や
子供に物乞いをさせる親。

こんな急激な変化は人にも環境にも絶対よくない。
中国は...あのパワーあふれる人々は...いったいどこに進んでいこうとしているんだろう。
次の時代を担うであろうこの力強い民族の今後が、地球の未来さえも左右するっていう現実。


東台路古玩街。
露天の骨董屋が軒を連ねる中で、急な雨に降られて傘を求めて入った雑貨屋に可愛い4才の
男の子がいました。
身振り手振りで私にも同じくらいの息子がいるよと伝えると、若いお母さんと2人で本当に
嬉しそうに笑ってくれた。
あの古いお店も壊されて、あの子達もどこかに行ってしまったのかな。
一瞬だけ言葉を交わしたあの二人の幸せを、つい時々、祈ったりしています。

普通の人々に普通の生活と普通の幸せがある。それだけで充分じゃないのかなぁ。


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