2013年11月12日火曜日

no.554 kyoto style

京都市役所のすぐそば、お茶のお店「一保堂」の並びにある洋菓子屋さん「村上開新堂」
高校生の時に、池波正太郎のエッセイ「散歩の時なにか食べたくなって」で知って以来の
お付き合い。
創業は明治37年。おりしもその頃は日露戦争のとき。
こういった情緒を色濃く残すお店が点在するのは、やはり京都ならではですね。
この建物自体も昭和10年に建てられたものなんだそう。
戦前の建物って、その周囲の時間が止まってしまったように感じます。


11月〜3月までの限定販売「好事福盧/こうずぶくろ」
名前もゆかしいでしょ?
紀州蜜柑の中をくりぬいて、果汁をゼリーにしてつめたお菓子です。

新国劇の脚本を書いていて京都滞在が長かった若かりし頃の池波正太郎が、お酒を飲んで
帰った寒い冬の夜に、部屋の外に冷やしておいた好事福盧をいそいそと取り出して夜更け
にひとり食するっていう文章が、お酒のなんたるかも知らなかったにも関わらず当時の私
は大好きでした。


底冷えのする京都の冷徹な空気と好事福盧。

昨日、今日とやっと空気が冷えてきたからでしょうか。
久しぶりにこのお菓子が食べたくなりました。

ちなみに村上開新堂で予約なしに買えるのはロシアケーキのみ。
クッキーなどは1ヶ月〜2ヶ月待ちだそうです。
好評だからって大量生産に切り替えない。
味も品質も当時のままを保つためにお店を広げない。
こんな姿勢が、今また見直される時代になってきたのは本当に嬉しいこと。

ちなみにこの好事福盧、たまたまお店をのぞいてひとつふたつ残っていれば分けて頂けます。


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