2016年4月29日金曜日

no.930 golden week

巷は今日からゴールデン・ウィークなのね。
仕事に向かう途中、首都高で事故多し。
そして前も後ろも横も、見かける車はみんな地方ナンバーばっかりで。
首都高って慣れないとほんっとに運転しづらいから、普段高速を運転しない人達だけでいき
なり乗るのはかなり危険。
とんでもないトコで迷ってたり。すごい遅い速度でノロノロ走ってたり。はたまた急な車線
変更とか。あれじゃ絶対事故るよね〜。
巻き添えにならないように自己プロテクトするのみ。

いつもの年はゴールデンウィーク中はツアーで地方出張が多いのですが、今年は諸々の事情
でコンサートのスタートが遅れたのでまだリハーサル期間中なの。
この間の東京駅や空港の混み具合なんて言語に絶するよ。
旅行慣れしてないからバタバタ、オロオロ、ノタノタ。人の迷惑なんか全然考えられない。
テンション上がってるからガキうるさいし。
どうしてみんな、ここぞとばかりにそんなに遠出しようと思うのかなぁ。
そうして疲れ切ってデロデロになるなんて、すごく貧しい時間の使い方だと思うけど。

読書したり。美味しい料理をつくったり。普段整理できないところを片付けたり。
お庭を整えたり。近くの公園にピクニックに行ったり。絵を描いてみたりするのもいいね。
楽器の練習してみたり。コーヒーの焙煎してみたり。見てなかったDVDを鑑賞したり。
いつもは会えない人と食事する約束したり。庭でワインを空けたり。あとお昼寝もいいな。

芝浦に行く途中、お台場に停泊していたホタルナ。


空いている時期に乗って海からゆっくりとTOKYOを眺めてみたい。


2016年4月26日火曜日

no.929 bernard buffet et annabel

ロンドンの美術館で友人が買ってくれたレオナルドの「聖母子と聖アンナ」のポスター。
額装して母の部屋に飾っていましたが陽の光で紙焼けしてしまったので、先日の絵の掛替え
時にビュフェのリトグラフと入れ替えてみました。

「青いプリムラ」
黄色のトーンで部屋がすごくあったかい雰囲気になった。


ビュフェって1999年に亡くなっているのね。
よく調べたことがなかったから自分で自分の命を絶つ終焉を迎えたことも知らなかった。
経歴やエピソード見ていたら、彼のミューズであった奥様アナベルとの幸せな時代の写真が
出て来て。
思わずAmazonで「ビュフェとアナベル」という本を購入してしまいました。
今日届いたの。


遅い午後、お腹が空いたのでコーヒーとレーズントーストを食べながら、たくさんの写真が
掲載されている本をゆっくりと読んでみました。

一番幸せだった頃。サントロペで出会ったばかりのふたり。
モデルだったアナベルを撮影中、二人の共通の知り合いだったカメラマンが撮った写真なん
だって。


素敵な写真だなぁ。


2016年4月24日日曜日

no.928 pun-puku-dou

ぷんぷく堂。夜19時から22時まで、ゆる〜く開いている文房具屋さん。
京成八幡駅と鬼越駅の間、線路沿いにちょこんとある可愛いらしいお店です。
新聞の地域欄で姉が「ぷんぷく堂」の記事を見つけてチェック。
ステーショナリー好きの息子を誘って昨晩外出したついでにのぞいてみました!

少しの肌寒さが心地よい春の宵、テクテクと鬼越駅からお散歩。
この界隈は昔ながらの静かな邸宅街だったのか、大きな樹木の間に本当に立派なお宅が多い。
電球色の優しい光がもれる店内。一歩入るともう別世界です。
なんか。21世紀とは思えない。
店主の女性の文具好きの趣味が高じてとうとうお店を開店してしまったんだとか。
ご自分の趣味の文具、昭和のデッドストックもの、小さな付箋やA4の珍しい原稿用紙、ネコ
ちゃんグッズなど。


お昼間のお仕事が終わってからお店を開くため必然的に夜の営業になったとのこと。
素敵な時間が流れてるなぁ。

わたしもこんなお店やってみたい。夜3時間だけひらく温かい灯の骨董屋さん。


2016年4月21日木曜日

no.927 the memories of chiswick high road

もう仕事で使っているMacは何台目かなぁ。
最近、息子、「居合い」に通っているので宿題をやる時間がなく朝早く起こす毎日。
自分だけもう一度寝ようと思っても、これがなかなか寝れないの。
仕方ないのでデスクでメールチェックをしていたら、やたらと古いフォルダを見つけました。
ついつい整理作業(笑)

15年前のコンサートのセットリストや。
海外コーディネイトをしていた時のホテルやレンタカー屋からの返信メール。
亡くなった友達からのメッセージ。
クライアントに渡したコールシートの断片やレシート。
そして。いくつかの写真。

Chiswick High Road。近くに住んでたの。Zone 4。ヒースロー空港の近く。ピカデリーライン。


アーリントンガーデンという住宅街の路沿いにフラットがあったので、ちょうどコーナーに
あるここのパブはよく行きました。The Old Park Horse。まだあるのかな。


イギリスのパブは1日を通して食事ができるので朝から晩までやっています。
フル・イングリッシュ・ブレイクファースト。こんなに食べれない。いま(笑)
あたしキッパーも好きだった。ニシンの薫製。朝からそんなの食べてたなんて。


ちょっと中心からはずれていたこの街で、たまに古いメルセデスに乗ったニック・ロウを
見かけたこともありました。
友人が知り合いだったので、一度だけ挨拶したことがあった。
いまとはまったくかけ離れたその頃の自分。
朝からすこしノスタルジックな気分になったりして。
あれは…。ほんとうにあたしだったのかな。

いまは芝浦スタジオでデータ整理の立ち会い。
明日は昼間はオフ。
日本画の大家、安田靫彦の展覧会にでも行ってみようかなと思っています。


2016年4月19日火曜日

no.926 oh la la!

五月晴れの今日。午前中に佐原に鎮座まします香取神宮に行って来ました。
重要文化財「楼門」 朱の鮮やかな色が空の青さに映える。


相変わらずの端正なお姿。黒漆の社殿が本当に美しい。
手水舎のコンコンと湧き出る水を見て、いまも熊本でお水に困っている方達のことを思う。
香取さんには「要石」があるの。お父様にあたる鹿島神宮にもね。地震をおさめてくれる石。
どうか一日もはやく地震が鎮まりますように。


ここに伺うことになる日は、すごい確率で「晴れ」の日が多い。
山門脇の「阿吽の狛犬」
これは犬なのかなぁ。トラに見えるけど。朱色をバックにちょっとお洒落な佇まい。


今日ここに伺った理由はね。車のお祓い。


いま私の周りはどんどんいろんなことがシフトしていっています。
それは…。私の見方が変わってきたからなのかな。
今までと同じことをしている毎日なんだけど、まったく違うことになってる感じ。
眉間にね。白毫を頂いたの(笑)
このお話は自分自身の心の整理がついてから、また今度ゆっくりとアップしたいなぁ。

そして今日も夕方から芝浦スタジオ。つまり。相変わらずってことなのですが…(笑)


2016年4月17日日曜日

no.925 a lecture meeting

息子の学校の春の講演会。ゲストは沢田知可子さんでした。
実は私、沢田さんとご主人の小野澤篤さんとはすごく古いお付き合いなの。
当時在籍していた制作事務所絡みで、レコーディング、そしてコンサートツアーと、とても
とてもお世話になりました。

広報の打ち合わせで沢田さんが息子の学校にいらして下さることを知り、何かお手伝いでき
ることがあればと、もうほんとに十数年ぶりでお二人とご連絡を取りました。
理事長室にご挨拶にあがった時に撮って頂いた一枚。
お二人とも全然変わらない!
ちょっとご挨拶をと思って楽屋にお邪魔したのに、ついつい長居をしてしまいました。


音楽による癒し(音セラピー)をいろいろな場所でなさっているお二人。
体育館という音を出すにはデメリットの多い場所で、ご自分達の世界観を出されるのは大変
なことです。
私も調律は441でちゃんと指定できてるかなぁとか、モニター環境は大丈夫かな?など、
いろんなことが気になっちゃって〜。これは職業病だよね。

でも音が出始めたら、もうすっかり沢田さんの世界観一色に!
歌っている歌詞、伝えたい言葉が、きちんと人の胸を打つっていうのは大事なことですね。
回りにいらしていたお母様達の中には涙している方もいて。
大切な人を亡くしたり。大事な子どもの身を案じたり。昔の自分を重ね合わせて当時の感情
がフィードバックしたり。
普段はすっかりわすれているそんな想いとこうしてちゃんと向き合うことで、凍結していた
感情がゆっくりと正常に動きだし、人って癒されていくんだなぁ。
大切なことを呼び起こしてくれた素敵なライブでした。

講演会終わりで外環をぶっ飛ばして芝浦スタジオへ。
ドアを開けた瞬間スイッチが切り替わる音がして、わたしも現実の世界へ直行です(笑)


2016年4月15日金曜日

no.924 tsu-ba-me

熊本の地震。心配。震度7って…。
日本は龍体の地震国。やっぱりオリンピックは止めたほうがいいと思う。今からでも。
責任とれないじゃない?何かあったら。
春とは言え、まだ朝晩は寒い。
これ以上の被害がなく、被災地の方々が一日も早く通常の生活に戻ることができますように。

昨日、リハーサルに向かっている時に元気に飛んでいる「つばめ」を見つけました。
初つばめ。あんな小さな身体で一心不乱に海を渡って来るんだね。
これはうちの目が青い「つばめ」 
可愛いでしょう?
1940年代あたりのフランス製。全長5センチにも充たない小さい壁飾りです。


今日はオフなので、朝からストレッチして家のお掃除と飾っている絵の懸け換えをしてます。
春だからね。模様替え。

最近、自分の「夢」が気になっていて。
以前から不可思議な夢を見る方でしたが(全然知らないひとにあったり。名刺をもらったり。
行ったことのない場所に行ったり。自分がいまの私じゃなかったり。)、ここのところ何回
か同じ場所に行ったりしてるみたいなの。目覚めた時はよく覚えていないんだけど。

昨晩は昔つき合っていた人が歳をとって出てきました。
夢の中で一緒に暮らしているんだけど、関係が全然うまくいっていなくて家に帰りたくない
っていう夢(笑)
もう亡くなったその方のお母様も出て来て(うまくいかない原因でもあるみたいだったけど)
なんだかリアルだったな。
現実世界の私はもう思い出しもしないのに、そうやって私の中の深い部分が何かの傷を修復
しようとでもしているかのように、そんな夢を見させられてるみたい。

明日は息子の学校の講演会。昔の知人が講演会のゲストなの。
だからその頃の夢を見たのかなぁ。

そのあと急いで芝浦スタジオに向かう予定です。


2016年4月13日水曜日

no.923 hypnotherapy

先日の奈良旅行、実は生駒でヒプノセラピーを受けて参りました。
ヒプノセラピーとは。
主に催眠と暗示、そしてイメージを用いて人の潜在意識とダイレクトにコミュニケーション
を取ることで、心に肯定的な変化を促すことができるセラピーテクニックのこと。
もっと早くにBlogにアップして自分の心に留める作業をしたく思っていましたが、あまりに
衝撃的で(いい意味でね!)私の稚拙な文章力ではすごくチープな内容になってしまいそう
でちょっと躊躇してしまっていたの。

ナビゲートしてくださったのは珊瑚朱色さんという、もう本当に素敵なセラピストの方。
もともとは十数年前にアメリカの精神科医ブライアン・L・ワイス博士という方の著作「魂の
伴侶」を私が読んで、その方に直々にセラピーテクニックを教わられた珊瑚さんのサイトを
二年前に偶然見つけたのが始まり。
そして。やっと生駒まで伺うことができました。

前世療法。
わたしは今回、中世ヨーロッパで修行僧だった過去生を体感しました。
常々、行ったこともないのに、なんでこのイタリア、ラヴェンナという都市のモザイク画に
魅かれ、何冊も関連する書籍を購入しているのか自分ながら不思議だった。


この平和で穏やかな風景がただ単に好きだったからなのかな。
それとも。やはりここラヴェンナに居たことがあるからなのか。
いま今生で出会っている魂は、何回も一緒に転生して共に成長していっているグループなん
だとか。父も母も姉も息子も猫のミントも。
ご縁がある方はみんな、魂の深い部分では繋がっている。


奈良から戻ってから、このラヴェンナという古都に行ってみたいという気持ちが、ますます
溢れ出るように流れてきています。
そこでわたしは誰と会い、今度は何を見るのかな。


わたしの魂の旅。


2016年4月12日火曜日

no.922 nowadays

奈良から帰って来てから(正確には自分の人生に対してわりと深く考えた旅行から帰って来
てから)更に摂取する食事が菜食傾向に。
昨日は歯のメンテナンス。長い時間、大口を開けてたら疲れちゃって〜。
でも中高年には大切です。歯のケア。
…で深い理由はないけど、お昼はフォー。厚揚げとお野菜のフォーにパクチー別盛り。


18時30分にメトロの日本橋A1出口で息子と姉と待ち合わせ。
なんか。居合道やるんだって。姉と息子のふたりして。
それでその道場の入会手続きをしに、ひさしぶりに日本橋まで来たというわけです。
無外流/吹毛会の本部道場。


無外流は1693年に辻月丹という方がつくられた剣術の流派なんだそう。
土佐の上士(上流の武士)もこぞってお稽古した流派とWikiに書かれていたので「すごいね!
きっと龍馬もお稽古したんじゃない?」と龍馬ファンの息子に言ったら、「龍馬は下士です
からこの流派はお稽古してませんよ。」と軽くいなされました(笑)

私なんて剣の道のこと全然わからないから、居合ってあの藁を叩き切るやつ?ぐらいの知識。
でも入会手続きのあとお稽古を拝見させてもらったら!これがすごく素敵なの!
いろいろな「型」を何人もで黙々と練習されてるんだけど、道場に響くのは「シュッ!」と
いう刀が風を切る音のみ。
もともと「勝負ごと」、とくに「喧嘩」にまで発展しそうな武道のエキセントリックな部分
が超苦手な息子には、ひとりで粛々と精神性を高めていく「居合」は性に合っているのかも
しれませんね。
日本橋までひとりで通うって言うの。
ちょっと心配だけど。本人がそんなにやりたいって言うんだからやらせてあげたい。

遅くなったので東京駅近くの地下街の「Bubby's」でお夕食。
お肉を欲しなくなった私はサーモンのステーキ。付け合わせはブラックビーンズとシシトウ。
姉のリクエストでコーンブレッドも。赤毛のアンに出てくるパンなんだってさ。


3人で食べるからコブサラダのフルサイズを頼みました。でかっ!


こうして隣の姉にからかわれているところを見ると、まだまだ子どもなんだけどね。
どんどん言うことが大人っぽくなってきて。
これは喜ぶべきことなんでしょうねぇ。すこし寂しいけど…。


2016年4月8日金曜日

no.921 tou-dai-ji

今日も芝浦でリハーサル…。
しばらく日にちが空いていたので、まだ身体が慣れないなぁ。
日程調整は慎重に慎重に。こういう時ほどミスするからね(汗)

いま休憩中なので、今回の奈良の写真をもう少しアップします。
今回の京都、奈良はねぇ。とにかくすごい人、人、人…!
海外の観光客への強力な誘致と、あとやっぱり桜の時期が重なったから仕方ないけど。


わたしは夕方から夜のとばりが降りるまでの東大寺二月堂からの眺めが好きなの。
山の端に夕陽が沈むときの美しい奈良の街が一望できるから。
涼やかな風が吹いて。鳥のさえずりが聞こえ。ひとときごとに空が表情を変えていきます。


ご本尊がいらっしゃる本堂の扉はもう閉ざされていますが、享保や寛永、明治、大正、昭和
などの多岐にわたる年号が刻まれた寄進の灯りの数々にぼんやりと灯がともり。


ゆっくりゆっくりと夜が降りてきます。
一般の観光客の方はこんな夜の時間帯も本堂に上がれることを知らないのか、本当に一握
りの人たちのためだけの凪ぎわたった風景。
ちょっとその時の動画を。鶯が鳴いてる。
左にちょっとだけ見えるのはかの良弁杉。夕陽の下に見えるのは大仏殿の屋根です。
きっとこの風景はずっと昔とあまり変わらない。


歩き疲れて心地よく草臥れた夕方、二月堂の階段を下りて、戒壇院の方角へ回り道をして夜
の東大寺の昔ながらの道を歩いて帰ります。


ひと知れず咲き誇る夜の桜。
ひっそりと静かな晩なのに、なんだか賑やかにおしゃべりしているよう。


時空を超えて、良弁や、実忠や、行基や、ひいては、聖武天皇や光明皇后その人が、自分と
一緒に呼吸しているようなそんな感覚。
わたしはたぶんこの奈良に居た時代があったんだと思う。
ここで生まれ、ここで人となり、愛し、泣き、生活し、そして死んだことがある。
だって、ここはこんなにも懐かしいから。どうしようもなく。

奈良ホテルの裏の階段から奈良町に出て散策していた時に古道具屋で見つけた器。
ほんとは蓋がついていたんでしょう。その蓋には龍の頭の部分が描かれていたようです。


自由闊達に描かれた龍の身体。手足。つめ。
完品ではないからたった1000円だった。
わたしのところに来たいって棚からうったえられたから、新聞紙にくるまったまま手に入れ
てきました(笑)
朝のカフェオレボールにしようかな。


2016年4月7日木曜日

no.920 rehearsal at shibaura studio

2016年のツアーリハーサル、昨日から始まりました!
それぞれのいろんな思いを飲み込んで、粛々と候補曲を上げていく作業がはじまります。


奈良で受けて来たヒプノセラピーの効果で、なんとなく俯瞰的にものが見れている気がする。
手放しの喜びや心に芽生えて来る負の感情と引き換えのフラットな穏やかさ。


2016年4月6日水曜日

no.919 nara hotel sono.2

お食事のあと、少し本館内とお庭を歩いてみました。
本館お二階を上がった吹き抜けのところ。ここの景色が一番好きなの。
この古風な灯り。夜がまた素敵なんです。
桃山御殿風総檜造りの奈良ホテルの設計は辰野金吾。あの東京駅もまた辰野氏の作品。


かくしゃくとした老人が新聞を読んでいたりするのが絵になるロビー。


アインシュタインが弾いたピアノも健在。


この窓からの風景、最後に家族で来た時も写真に撮った。


あの頃、母はまだ元気で。
吉野や天河まで一緒にドライブしたり、春日大社でお粥を食べたり、東大寺の二月堂で灯り
がともる夕方、新緑の奈良の街を見下ろしたりした。
もっと優しくしてあげたら良かった。
涙が出てきちゃうな。一緒に過ごしたこんな懐かしい風景を見たら。


no.918 nara hotel

春のひとりランチ。奈良ホテル。
ひさしぶりだなぁ。最後に泊まったのは母と姉と息子との家族旅行で。あの時は初夏だった。
今回は急に決まった旅だったので、ここはブックできませんでした。残念。


いろいろと思い出すことの多い今回の奈良。
まだ小さかった息子がメインダイニング三笠の支配人の方にすごく可愛がって頂きました。
ここはずっと変わらない。


春のコース「八重桜」をオーダー。前菜の盛り合わせ。テリーヌかぁ。ちょっと苦手だけど。
お野菜とコンソメのジュレ。こういう前菜はやっぱりホテルのランチの醍醐味ですねぇ。


とうもろこしの深みのあるスープ。
銀の食器やコクのあるバター、そしてサーブする人達の気遣いが味を一層ひきたてる。
美味しい!


メインは奈良県産ポークロースのステーキ。すこし甘みのあるブルーベリーとパイナップル
のソースで。


そして春らしい苺のムースのデザートとコーヒーも。


ひとりで過ごす贅沢。
お隣の小さい女の子に「あのひと、どうしてひとりで食べてるの?」なんて言われました(笑)
ご一緒のお母様が私をちらっと見てあたふたしてるのが面白かった。

そのうちね。貴方にもわかる。
ひとりで過ごす時間が、ひとりで自分を見つめ直す時間がいかに大切かってことが。
それができるように自立して文字通り自分の足で立ち、メンタルを強くしてね。
大人になっても一人でゆっくり食事もできない、自分で何にもできない依存度の高いひとが
多いから。日本人は。


2016年4月5日火曜日

no.917 spend alone in nara

息子との京都の旅を終えて、ひとりで久しぶりに奈良へ。
なんの予定もない日が1日できて。さて。どうしようかな。今日1日。
贅沢な悩み。だって外は春爛漫の古都、奈良。

一度見てみたかった「信貴山縁起絵巻」が奈良国立博物館で展示されているとの広告を見て、
まだ行ったことのない博物館に行ってみることにしました。
奈良に来る時はいつも訪れてみたい神社仏閣やお会いしたい仏像が目白押しなので、なかな
か時間をとる博物館巡りなどは出来ず。いい機会です。

博物館前の氷室神社の桜。満開!


奈良の街はもうすごい人。お天気にも恵まれているせいか休日の表参道みたいです。
英語圏ではない西欧人。中国人。韓国人。みんな満開の桜の美しさを満喫しています。
ゆっくりと歩く鹿やお煎餅をもらう度にお辞儀をする鹿に歓声をあげて写真におさめたり。
私の記憶にある、静かで平和な奈良のイメージからはほど遠い観光地。
でも仕方ないですねぇ。だって今日は桜が満開の春の一日だもん。


よく情報を確認しないで博物館を訪れたので、開催日がまだ先なことに受付でやっと気づき。
常設展だけでも見ようと思ったら、なんと展示内容の変更に伴う閉館。全然ダメじゃん(笑)
あの喧噪の中の奈良の街に戻るのはちょっとやだな…と思っていたので、水曜日と金曜日の
みに開館されている博物館裏の「仏教美術資料研究センター」に行ってみることにしました。


素敵な明治35年竣工の建物。建築は関野貞。
なんだか昨日見た平等院に似ているなぁ、と思っていたら、館内の解説に「平等院のフォル
ムをモチーフに」と記載されていて思わず微笑んでしまいました。
身分証明書を提示して荷物をすべて預け、普段は入れない館内へ。
奈良国立博物館の調査研究活動より蓄積された、仏教を中心とする文献資料を所蔵する場所
なので撮影などはすべて禁止。
学芸員の方と私だけが呼吸している密閉されたみたいに静かな空間です。

せっかくなのでセンターの蔵書で「信貴山縁起絵巻」を拝見しました。
有名な平安時代末期の絵巻物なのです。国宝。


信貴山の中興の祖である命蓮という僧を中心にした霊験譚です。


絵巻物って当時のいろいろな風俗や人々の表情がうかがえるから好きなの。
肖像画は「静」の画像。絵巻物は「動」の部分が表現されていて、人々の表情が本当に豊か。
信貴山縁起絵巻に描かれている東大寺の仏像は、聖武天皇の時代に建立されたオリジナル。


東大寺はそののち何回か被災して焼けているので、オリジナルの仏像が描かれているものは
この絵巻物のみだそう。創建時の模様がよくわかります。
そういった意味でも貴重な絵巻物なんだそうですよ。

なかなか訪れることができない場所で、思いがけない時間を過ごすことができました。


2016年4月1日金曜日

no.916 uji byo-do-in

鞍馬寺を後にして、宇治の平等院へと向かいました。
この二カ所はかなり離れているので、普通こんなムリな予定は立てないのですが、どうして
もこの二カ所は廻りたいという息子の希望があり。
朝、息子を起こした時に「あの。今日はその二カ所を廻ってもらってもいいですか?」なん
て言われたらねぇ。イヤとは言えないじゃん。
その代わり鞍馬寺から貴船神社へと向かう、ほんまもんの鞍馬山天狗ルート(私が名付けた
の。この山歩きルートは、いかにも天狗さんが出て来そうな深い山の道を通るから。)は、
次回に回させて頂きました。

そんなわけで宇治。平等院鳳凰堂。


昔、ひとりで初夏の宇治を訪れた時は、参道に人っ子一人いなくてシンと静まり返った神さ
びた所だったんだけど。
いま参道には観光客があふれ、古いお茶屋さんは立て替えられたり閉まっていたりで風情も
何もなくなってしまっていました。
その時宇治に連れて行ってくれたタクシーの運転手さんお薦めのお茶屋さんで頂いたお煎茶
の甘かったこと。
ふわりふわりと初夏の風がお店の暖簾を動かし、そとの通りには、夏の照り返しで建物の影
が濃く短く出来ていて。
お店の軒には大きな「杉玉」が下がっていたような。あれは夢だったのかな。

平等院を見た息子曰く「なんで派手なオレンジ色なんかに塗り直ししたのかな。もとの色に
したのかもしれないけどさ、古いものの良さがないよね。」
13歳にこんなこと言われちゃって。
でも、私もそう思う。なんで古いままの良さを生かさないんだろうね。法隆寺みたいに。
ご本尊を見るにも、チケットを買って指定された時間を待って本堂に入るシステム。
前はこんなじゃなかったけどねぇ。

そうは言ってもご本尊は相変わらずの美しさ。阿弥陀如来さま。定朝作。


観光客が増えることはその土地を維持していくために大事なこと。
でも…。大切にしたいのは迎合することじゃなくて、いかに文化財を美しく保存し、作られ
た当時の志しをいまに伝えていくことなんじゃないのかなぁ。
それは参道を含む街並みも含めてね。総合的な視点で見ていくことなんだと思う。

朝からフル活動だったので宇治川のほとりにある「通圓/つうえん」という古いお茶屋さん
に甘いものを食べに行きました。
通圓の創業は、なんと1160年に遡ります。すごい…。平治の乱の年...。
そんな通圓で抹茶パフェ。


七代目通圓は一休和尚と親交が深く、亡くなった時は一休から「一服一銭一期の泡」という
書を送られているんだとか。
一休和尚作「初代通圓」の木像。


一休宗純という人は、本当に不思議な一筋縄ではいかない人で、破天荒というか狂気に近い
というか常識なんか全然通じないというか。
だからこそ室町時代の人なのに、すごく現代的で超モダンな感じがするのかも。
この木像もなんだか不思議な出で立ちですねぇ。変わってる。

長い一日が暮れようとする頃、息子を送って京都駅へ。
新幹線でひとり東京まで戻り自宅に帰る息子は少し緊張しているようでしたが、「じゃね!」
と言って片手を上げて列車に乗り込む姿は、もう一人前の男のひとみたいだったな。
母はちょっとさみしいよ(笑)

そうして息子との旅を終え、わたしはひとり奈良へと向かったのでありました。


no.915 kurama-dera sono.2

春の鞍馬寺で見つけたアイテムをいくつか。
まず「鬼一法眼/きいちほうげん」なる文字が書かれた石の鳥居。


鬼一法眼は京の一条堀川に住んだ陰陽師で文武の達人。
室町時代に書かれた「義経記」に登場する人物で、義経に剣術を教えたという伝説上の人物
なんだって。知らなかった。
剣術の神様なので、剣道をやっている息子に「剣道が強くなるように、よぉ〜くお願いして。
あっ。お賽銭は自分のお財布から出しなさいよ!」などと言いいいしつつ(笑)

山門の阿吽の虎。番をしてるわりには愛嬌がいっぱいで(笑)


放生池。創建時からそのままの風景なんですって。
なんだか。アンタ。前世でもそこに佇んでたでしょ?っていう雰囲気を醸し出す息子。


そして。信樂香仁貫主。鞍馬寺の管長は、なんと女性なのです。
あまりの美しさに、センターに掲げてあったお写真を撮らせて頂きました。


御歳91歳。どうかいついつまでもお元気で。


早くに京都のホテルをチェックアウトしてここに来たので、実はふたりともこの日は朝から
何も食べておらず。
駅前のお土産物屋さんで「にしんそば」 息子は「けつねうろん」


ほんとは関西だからおうどんにしたかったんだけど、どうしても鰊が食べたくて。
鰊だったらやっぱりお蕎麦でしょ?
おついでになんと!お赤飯も!お腹空いてたからねぇ。ふたりとも。


駅のそばの川沿い「あっ!ママの好きな廃墟だよっ!」と息子。
いやいや、私の好きなのは今まさに崩れ落ちなんとする危うい美しさを持つ廃墟だから…。
と近づいてみると。


まさに…(笑)
ここどなたも住んでないの?
わたしが修繕して...住んでもいい?