2014年10月15日水曜日

no.701 operacity

昨日は雨の中、首都圏模試。
午前中に試験を終え、そのまま息子と東京オペラシティコンサートホールへと出かけました。
ヴァチカンで行われる「ヴァチカン国際音楽祭2014」のための記念壮行演奏会。
指揮は西本智実。演奏はイルミナートハーモニーオーケストラ。合唱はイルミナート合唱団。


どうしてもこの演奏会が見たかった理由とは。

長崎県生月島(いきつきしま)では1550〜60年代に行われた一斉改宗で全島民がキリシタン
となった歴史を持っています。
長い長いあいだ、島の信者は教会のミサに参加して唄オラショ(祈り)を唱え続け、洗礼や
葬儀を粛々と行ってきました。
江戸時代の酷い宗教弾圧で多数の殉教者をだしたあとも、水面下でこの祈りは口伝えで伝承
され、そして今に至っているのだそう。

近年、この島民の間で口伝されてきたオラショ(祈り)が、なんと1549年にフランシスコ・
ザビエルがキリスト教を伝えたときに教えた聖歌の原型をとどめていると正式に確認され、
ローマ法王のお膝元ヴァチカンによって認められたのです。

この日は、初の試みとして生月島から3人の男性のオラショの継承者を迎え、現在歌われて
いるグレゴリア聖歌と対比させてコラボレーションするというもの。
この演奏会があることを知って、これはぜひ歴史好きの息子に聞かせないと!わたしも絶対
拝見しなくては!と、嬉々としてチケットをとったというわけです。

日本人のなかに生き続けた500年前のラテン語で語られた「祈り」
その土地の織物から作られたのであろう藍の羽織、袴で正装された生月島のお三方が手を合
わせ、神様への祈りを捧げてから静かに歌いだされたとき。
長崎の海に面した島の風景と人々が、走馬灯のように、または8ミリフィルムの映画のよう
に、次々と流れる映像となって目の前に顕われては消えていき。
波が静かに寄せるように穏やかな感動がひたひたとわたしの心を満たしました。

すごいなぁ。456年前から祖先が歌い続けてきた祈りの歌。

息子は「ぼく、気持ち良くなっちゃって眠りながら聴いちゃった!」だって。
うん。たしかに君は眠ってたよ(笑)
でも確実に、あの人たちの「魂の歌」は君の細胞の隅々にまで浸透したはず。
そして、いつの日か必ず、その種が芽吹くときが来るんだね。

歴史と君がつながったんだよ。


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