2015年5月28日木曜日

no.767 suou-ohjima

先週末は神戸公演。
なかなか大阪より西に行くことがないので、月曜日のオフを利用して前から行ってみたか
った山口県の周防大島(すおうおおじま)という所に行ってきました。
広島から山陽本線で岩国へ。そこからはレンタカーで入ります。

瀬戸内海。油をひいたように穏やかに凪いだ海には涼やかな風が吹いています。
もう真夏のようないいお天気!


宮本常一(1907〜1981)周防大島出身の民俗学者。


私がどうしても一度は周防大島を訪れたかった理由。
それはここに宮本常一の軌跡を展示した「周防大島文化交流センター」があるからなの。
岩波文庫の宮本常一著「忘れられた日本人」は、私の20年来の愛読書です。
入館料300円を払って入館すると、そこには、写真、書籍、民具、生活雑貨に囲まれたシンと
した静かな空間が広がっていました。
私が3時間以上滞在した間、入館者ひとりもなし。
おかげさまで本当にゆっくり資料を読んだり、書籍を探したり、ビデオを見たり。
聞こえてくるのはただただ打ち寄せては返す波の音だけ。なんて幸せな気分!


彼の文章がはじめて載った雑誌や。


できうる限り徒歩でまわった地球4周分の取材旅行に携帯した品々。
彼がいつも手元に置いていた本は「万葉集」と「古事記」
グールドは漱石の「草枕」と「聖書」だったんだって。
ウォホールの最後の寝室には十字架と聖母子像。
わたしは…何かなぁ。自分の手元にいつも、そして最後の瞬間に置いておきたいものって。


市井に生きる人々。とりわけ老人や子供、社会的に忘れ去られようとする弱者や儚い時代の
記憶を愛情を持って撮影し、膨大な数の写真を残した宮本の、この写真は代表作。
潮の香りや波の音、照り返す太陽のギラギラ感が写真から溢れてる。モノクロームなのにね。
撮影者である宮本の帽子をかぶった影が左下に見てとれます。
きっと微笑んで撮影したであろうこの瞬間。


周防大島は瀬戸内の海のちょうど真ん中あたりに位置し、四国や九州からも本当にすぐ。
最近の私は瀬戸内海近辺や琵琶湖の周辺になんとなく魅かれています。
京都や大阪、東京などの中央の正史に記載されていない、古い古い歴史の記憶がまだ残って
いるような気がして。


半日の滞在だったけど、とんびが舞う空はどこまでも青く広く、そして穏やかな海を渡る風
は透けるように清々しく。
自分の残りの人生はこんな場所で過ごせたらいいな、なんて心から思う。
ほんとにそのうちここに家を買っちゃうかも(笑)


うちへのお土産。
道の駅で手に入れた島で摂れた蜂蜜と海藻、そして野菜のフレークと何故か人参(笑)
息子が小さかった頃(私も幼少時代に持ってたし!)よく見た絵本の「ぐりとぐら」シリー
ズに出て来る人参にあんまりにそっくりだったので思わず購入。
このながぁい葉っぱの部分は、ぐりぐらの絵本同様、家の食卓で人参の葉っぱ入りオムレツ
となったのでした〜。

最後に夕方の瀬戸内の海のショットを。



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