2017年1月13日金曜日

no.1032 go to Kanazawa

所用があって、先週末、松の内の金沢へ行って来ました。
金沢はずいぶん前にツアーで来ただけ。バリバリの観光地っていうイメージが強くて私の好
みからは少しずれている感じがしてプライベートでは来たことがなかった。
あの頃は仕事に対して常にいっぱいいっぱいで風景や食事を楽しむ余裕もなかったからなぁ。
ただ日々、責務をこなすだけの毎日でした。もったいなかった。今にして思うと。

到着した日の午後はまったくのオフ。
古い建造物フェチのわたくし。早速「ひがし茶屋街」という昔の花街に出かけました。
生憎の曇り空。ひと雨来そうなお天気です。


キムスコ(木虫籠)と呼ばれる美しい出格子がある古い古い街並み。
1820年というからほぼ200年前にできた街です。重要伝統的建造物群保存地区。
お正月なのでお着物の方もちらほらと。さむっ。でも寒い時に寒いとこ好きなの。

朝から何も食べずに飛行機に乗っちゃったのでお腹が空いて空いて〜。
武右衞門という古い町家を改装した雰囲気抜群のお蕎麦屋さんに入りました。


加賀野菜の天ぷらとかけ蕎麦。
あっ。そうそう。赤いお箸はマイ箸です。こないだから使ってるの。最近の割り箸、なんか
色々風評があるしスッキリ割れないのが多いでしょう?
お店の内部はちょっと凝った音響システムでジャズが流れていて。夜はお酒中心なのかな。
外が冷えるのであったまるー。お塩で頂く加賀野菜の天ぷらも美味しい。


お蕎麦屋さんのご近所になんだか気になる風情の町家があって。こんな文字が。

『雀のお座敷。13時30分〜。「ひがし」の今昔のお話とお座敷踊りをお気軽に。』

こういう時に私はまったく物怖じしないので早速ガラガラと格子戸を開ける。お正月のお花
が生けられたお玄関には駒下駄がお一つ。お香の香りが漂いなんとも素敵な雰囲気です。
2回ほど「こんにちは。」と声をかけると、ほどなくして静かな足音が聞こえて芸者さんの
出で立ちの女性が応対に出ていらっしゃいました。
お文姐さんとおっしゃるのだそう。いまは芸妓さんは引退されたそうですが往年の「加賀鳶」
の第一人者として芸を後世に残していこうとご自宅を開放されているのだとか。
お正月のお神酒を一献。


黄金期のひがし界隈今昔のお話。二枚重ねでお召しのお着物のお話。裏地の紅絹のお話から
往年の政財界のお客様のお座敷のお話や踊りのお話。もう亡くなった名妓の芸妓さんや地方
の名演奏者の方達のお話。時間を忘れるほど興味深いお話がどんどんと。楽しかったー!
季節の踊りも二曲、踊って頂きました。当時の風景が踊りに寄り添って垣間見えるよう。
踊りの時のお写真はちょっと...。との事でしたので、お見送り頂いた時のお玄関でのスナップ。


なんの気なしにスッとポーズを取られるところはさすがですねぇ。
こんな出会いがあるから「旅」はやめられなぁーい。
金沢「ひがし」の生き字引のお文姐さん。「たぶん私が黄金期の『ひがし』を知ってるただ
一人の芸妓かもしれませんねぇ。」お文さん。自叙伝をお書きになったら絶対いいと思うの。

今度は息子を連れてまたぜひ伺います。アイツ相当喜んじゃうかも!


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