2013年9月6日金曜日

no.519 awai no koto

昨日はソファで読書三昧。
姉と息子は夕方からコンサートに出かけたので、夜にかけてもたまにおトイレと飲み物を
取りに行く以外は基本的にソファの上。
居心地抜群(笑)

川上弘美って前から好きだったのですが、元々あまり小説は読まないので好んで手に取る
ことはなく。
なんで好きだったかと言うと、ゴンチチとの対談をどこかで読んだんだなぁ、たぶん。
その時に彼女がバッグから分度器をおもむろに取り出して(いつも持っているらしい!?)
そこらに在る物の角度を嬉々として測っていたのが私のツボにハマり。
以来、つかず離れずの関係です(笑)

「センセイの鞄」
なんか川上弘美の初期代表作なんですって。知らなかった。
この本が、あわあわと(文中にあった表現)面白く、そして切なかった。
さらりと流れる文章のなかに独特の「間」があって、それが地球を取り巻く大気圏のご
とく、骨董品のお茶碗を包んだ絹の袱紗のごとく、このお話をくるんでいます。

思うに私は、かねてからこの世(生)とあの世(死)の「アワイ」の部分に魅かれる傾向
があるんだな。
ひとりひとりの「人」を取り巻く、時間、空間、思考、スピリチュアルな奥行き。
今日の夕食の献立や、面倒くさい恋愛や、ままならない試験の結果や、銀行の住宅ローン
の残高から、一歩、別の次元に踏み込んだ領域。


今年の夏の熊野。
ほとんど体感できる風がないのに、川で遊ぶ息子のうしろで、森の樹々がもの言いたげに
いっせいに撓んでなびく様子を見ました。
ひそひそと不思議な気配がする夕暮れ。

ano ko ga kita yo.  ano ko ga yatto kita.   ano ko ga asonde iru yo.   ano ko ga asonde iru.

本を読んだあと、夜の闇の中でそんな風景を思い出しました。


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