2014年7月11日金曜日

no.656 vories two

古い情緒ある街並が色濃く残る近江八幡。
日牟禮(ひむれ)八幡宮が八幡山の麓に鎮座し、その裾野に広がる美しい街です。


古くは朝鮮使節団が江戸への道中に練り歩いたという路もあり、整然とした古式床しい香り
のする場所。

この和の雰囲気の街、近江八幡には異国情緒ある洋風建築が数多く残されています。
設計したのはウィリアム・メレル・ヴォーリーズ(1880-1964)
明治38年にアメリカから英語教師として来日した後、キリスト教伝道活動と共に、全国で約
1600件にものぼる建築設計に携わりました。
のちに日本に帰化して一柳米来留(いちやなぎめれる)と名乗り、メンソレタームの輸入と
販売、結核治療のサナトリウムの建設、近江兄弟社学園の設立など、マルチに活躍した人。
奥様は一柳満喜子(いちやなぎまきこ)さん。華族のご令嬢でアメリカに留学経験もあり、
公私ともにヴォーリーズを支えた方だそうです。


近江八幡の街を深く愛したヴォーリーズの軌跡が、小さいこの街に大事大事に残されていて、
あざとい観光地としてではなく密やかに公開されている、という訳です。

仕事でバタバタしていた私は、ヴォーリーズ夫妻のおうち(ヴォーリーズ記念館)の拝観に
予約が必要なのをつい忘れていて中には入れませんでした。
残念だったけど、一見、手間がかかるように思える予約という手続きは、ヴォーリーズの息
づかいがする遺構をゆっくり見て頂く、そして建物を大切に保管していく、という意味で
本当にいいシステムだと思います。


近江兄弟社学園。
子供達の教育という分野にまで手を広げ、近江八幡を文化の香りがする思想ある美しい街に
造り上げたアメリカ人のヴォーリーズ。


ドナルド・キーンにしても、フェノロサにしても、そしてこのヴォーリーズにしても、海外
の方に改めて気づかされハッとする「日本の美しさ」ってありますよね。


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