2015年6月7日日曜日

no.772 abura-hi-shrine

今回の小旅行の目的。
油日神社の古面「福太夫」を拝見しに、2日目は朝から車で出かけました。
宮司さんとのお約束は11時。お待たせするわけには行かないので早めの出発です。
近江の国はここ最近興味があって何回か訪れていますが、なにしろまだ土地勘がないために
思いのほか時間がかかることがあって。
彦根から甲賀までの国道を使った快適な1時間半のドライブ。

油日という珍しい地名。
もとは油日岳の山頂に油の火のような光を放ちながら油日神が降臨したと伝えられ、それが
土地の名前の由来となっているとか。

すこし雲がかかっていましたが、時折、陽が射す五月晴れの清々しい日。
静かな村の一角にその神社はありました。


そよぐ風の葉擦れの音。どこかから聞こえる水の流れる音。鳥のさえずり。虫の羽音。


本殿はこの能楽堂に守られるようにひっそりと裏手にあります。こういった造り初めて見た。
創祀年代は不詳とありますが、正史に878年として、ここ油日神社の記述が見られるそうで、
その前からこの地にあったとするとかなり古いお寺なんですねぇ。
油日大神を祀る神社なので、油関係の会社の崇敬を集めているよう。奉納の油。


新しく立て替えたり、観光のために増築したりしていない古い境内は、よく映画の撮影にも
使われているそうです。
こういった景色を残す古色蒼然としている場所は、もうそうそう残ってないですもんね。

私がここを知ったのは白洲正子の「近江山河抄」で。
観光地化されていない場所を維持するのは大変なご苦労がおありかと思うのですが、どうか
このまま、往時の姿を忠実にとどめたまま、いつまでもずっとこの地に在って欲しいと思う
数少ない場所。

山門前の清らかな小さな流れの淵で、緑色の小さな一匹の蛙がまるで哲学者みたいにじっと
何か考えこんでいるような様子。それがなんだかとっても愛おしかった。


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