2012年9月12日水曜日

no.267 sui-ko period

法隆寺の金堂におられる釈迦三尊像。
推古時代に止利仏師(トリブッシ/生没年不詳)によって造られました。
止利仏師は渡来人だったと言われていて、我が国最初の仏像制作工房のチーフ。


秋になるとやっぱり奈良に行きたくなる。
かさかさと落ち葉を踏みながら好きな仏像だけを巡る旅は、見失ってた自分自身を取り戻す
瞬間でもあります。

法隆寺の金堂はもちろん国の重要文化財なので、文化財保護のために中は薄暗く金網ごしに
お顔を拝むしかありませんが、その暗さがまた推古時代当時の雰囲気を彷彿とさせてくれて
とてもいいものです。

私はどの宗教に限らず祈りの対象であるものは全て、本来そこにあった場所で拝されるべき
だと思っています。
美術館や宝物館での展示は、なかなか神社仏閣まで足を運べない時には便利ではありますが、
やっぱり本来持っているそこはかとない雰囲気をかき消してしまう。
こういった精神の世界を具現化した像を、私たち一般人が明るい光のもとで矯めつ眇めつ
「観察」することになんの意義があるんでしょう。
学問として研究される方たちはまた別ですが。

ひとつの旅が、たったひとつの仏像にあいまみえる旅であってもいいですよね。
そんな贅沢が自身の「こころ」を育てる。
そんな気がします。

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