2012年8月19日日曜日

no.248 you-hen-ten-moku

曜変天目茶碗(ようへんてんもく茶碗)

12〜13世紀、中国の南宋時代に福建省の建窯という所で焼かれた茶碗。
内部の漆黒の漆面に結晶による様々な斑紋が一面に現れ、その周りを美しい瑠璃色の光りが
彩っている逸品。
何故か本家中国にはひとつも残っていなくて、唯一、日本にだけ3点のみ存在します。
全て国宝。

三つとも非常に似ているので、同一人物の作品だろうと言われています。
南宋のある時期にわずかな数だけがひとりの陶工の手で焼かれ、それから二度と焼かれずに
窯跡に陶片さえない。
すごく不思議な話ですね。

もうひとつ、足利義政から織田信長が賜った、名品と言われた曜変天目茶碗がありましたが
これは本能寺の変の時に信長と共に炎に焼かれ失われました。

この器の中に、いまの私たちには測り知れない「真実」と「時」が凝縮している。


写真は碧く美しい光をたたえる静嘉堂文庫美術館所蔵の稲葉天目。
常設展示ではありませんが、年に4、5回、展覧会のかたちで公開されます。


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