2012年6月8日金曜日

奈良ホテル旧館。
階段の踊り場付近。ここを通って客室に向かいます。
壁には河合玉堂や横山大観の絵が飾られ、年代を経た木の手すりや窓枠、そしてこの照明。
ここに宿泊する度に、このホテルに身を置くことの贅沢さを実感し本当に豊かな気分になります。


ある時、一人で冬の初め頃に泊まった私。
当然いつもスタンダードなお部屋なのですが、この時は新館に案内され(新館も綺麗ですが、ここ
の特徴は味わえないのです...)もう一度、レセプションに戻って旧館に換えてもらいました。
たぶん、たまたまお部屋が空いている日だったんでしょう。
旧館の広いデラックスツインに案内され、びっくりしました。

その夜は重厚な大きな部屋で、奈良の街の古書店で偶然見つけた「小桜姫物語」を読んだのでした。
物語の質とこのお部屋の雰囲気が相まって...なんだか不思議な、誰かにそっと見られているような
少しだけ怖い気持ちがしたのを覚えています。でもイヤな感じではなく。

自分とは違う時代の人達が愛した物や場所。
そういうものに触れていると、いつもと違う空気の粒子が私をゆっくりと取り巻いていく。
そんな錯覚に陥ります。

そういう雰囲気が、私は好きなんだな...。


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